2015-01-01から1年間の記事一覧

散り散りになって、拾い集めるのが大変だと、コウタくんのお姉ちゃんが言うものだから、拾わずにせめて繋げましょうと提案したら、繋いだその先、ちょっとだけ震えていて、心許ないのは今に始まったことではない。誰にでもわかるように言葉を繋ぐのはそんな…

沈黙していることの忍耐に、たとえ君たちが火炎瓶を投げつけるとしても、石のように硬く、踏みつけられることも厭わずに、僕はそこに在り続けたい。 無数の声が僕に呼び掛けても、それはこの身体を簡単に通過して流れてしまう。 君たちの歌を刻みつけて、僕…

トキオくん

トキオくんのパパは冷房が嫌いなので、この夏も扇風機と団扇だけで乗り切ると息巻いています。でも、トキオくんは冷房とつけないと溶けてしまうので困るのです。この前、僕がトキオくんの家に行くと、玄関のところでトキオくんが溶けていました。溶けたトキ…

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呉須郎:「マヨネーズをブロッコリーにかけて食べるというのはいかにも貴方らしいことだから、私には到底真似できないことですが、と言いつつ、私もジャガイモにマヨネーズをかけて食べるのは好きなのでございます」 素寒貧:「でも、マヨネーズはニワトリの…

ジリジリ

起き抜けに出された素麺を啜って、喉に潤いを与えるのが夏のハイライト。蒸し上がった髪の毛が完全に縮れてて、幼い頃に遊んでたサコちゃんの髪の毛にそっくりだなと思いながら、シャワーを浴びて生き返ってる。でも、やっぱ夏だし、伸ばしっぱなしの髪はよ…

遠い場所からの声は いつもコップの中で そんな夢みたいだと 嘘をつけずにいるの 夜になったらそこは 白い街灯の光が強く その空白だけを残し 見つめることはない どうか願いを届けて 震える指の先の先で 古い手紙の書出しを なぞり続けてほしい (2015年7月2…

星 見る 星 の孤独を見 る ひまわり 逢 瀬 の川に涙 流れ て <短冊もカラーで見えるよく見える> (2015年7月7日)

夏だというのに、沸かした熱い白湯を飲んでいる。いつから、ただの水を、こうして沸かして飲むようになったのだろう。昔はジュースばかり飲んでいたのに、気がつけば、もうここ数年、白湯ばかりを飲んでいる。別に健康に気を使っているとか、美容のためとか…

しっとり嫉妬 できたらいいのにな けじめも何にもつけないままで 指切りげんまん 針を飲ませて ゴムみたいにぐにゃぐにゃした 針、先の丸い針 蝶のように舞って 刺す! 刺す! 刺す! (2015年6月27日深夜)

白い画面が白い画面であることに不安を覚えるのは仕方がないとしても、そこにあわよくば自分の名前が載っていればいいと思っていたりするのだから、わたしは傲慢です。わたしは、卑怯だから、こうして空白を埋めることに余念がない。言葉で、空白を埋めるこ…

僕だってゴーゴリみたいに書きたいんだよね、でも、俺とか言うとちょっと恥ずかしいから書けないの。そういうことだよ。僕は僕で、そういう風に気取ってるのよ。(2015年6月21日)

梅肉の香ること 屋根裏のwetだ その平たき額に 夢をあずけて お前の唄を 遅れさせている (2015年6月20日深夜)

僕の詩出どころつまりWikipedia君のことだけ引用不能 (2015年6月19日)

コンスタンチノープルが陥落した!暫く君は動くことができないあの忘れ去られた教会の椅子でただじっと祈り続けていたいままでのことは雨に打たれてもう声すら届くことはないのだろうオルガンの屈折した歌君は、いったい君はその硬い椅子の上で何を祈ってい…

形は進路を失い、楡の葉の囁きを聞いて、君は溶け出した。僕は溶けた君を透明なビンにつめて、しっかりコルクで栓をしてから、引き出しの奥にしまった。僕はむかし、テレビか何かで、リスが口の中にドングリを溜め込んでいるのを見たことがある。いまの僕は…

抱擁を交わしたそばから林檎は爛れ、長針が短針を通り越す。あとに残った淡い香は、ホットミルクに溶かされて、白熱灯の光を反射している。いま、彼女はロングコートを脱ぎ捨てて、ベランダの花壇に水をくれる。背中に椎骨が浮き出て、肩甲骨が不気味に上下…

抱擁を交わしたそばから林檎は爛れ、長針が短針を通り越す。あとに残った淡い香は、ホットミルクに溶かされて、白熱灯の光を反射している。いま、彼女はロングコートを脱ぎ捨てて、ベランダの花壇に水をくれる。背中に椎骨が浮き出て、肩甲骨が不気味に上下…

耳を貸さないお前の口を貸せ。お前の口で、何を言おうか、否、何が言えるか。それでも耳を貸さない頑ななお前を、熱く抱擁する明るい月。仄暗く、しかし、照らし出された、お前の鼻。確かにモアイ像に見える。溶けかかって、砂を零す。(2015年6月15日)

耳を貸さないお前の口を貸せ。お前の口で、何を言おうか、否、何が言えるか。それでも耳を貸さない頑ななお前を、熱く抱擁する明るい月。仄暗く、しかし、照らし出された、お前の鼻。確かにモアイ像に見える。溶けかかって、砂を零す。(2015年6月15日)

ローソンの白いネオンでやたら安心感、駅のロータリーに取り残されて、赤色ラインの電車を待っている。走り去る快速列車に見慣れた顔、否、そう思いたいだけだけど、僕には見えた、君の、耳の、真珠のピアス。試験勉強を忘れて、明日の朝はやってきてくれな…

暑すぎて時間の感覚が歪み、昼頃にシャワーを浴びたら、一日がもう終わりに差し掛かろうとしている。わたしの脳みそが溶けてしまったのか、それとも世界の方が溶けてしまったのか、よくわからないが、というか、今日の暑さはそういう何かを溶かしてしまうよ…

日を跨いでしまった。今日は何も書けなかった。 (2015年6月11日深夜)

円い言葉が事切れたのは 蜘蛛の巣が雨に濡れたから 重い身体を持ち上げて 伝う雫を舐めとった 車窓から覗く貴方の影を 小さく小さく折り畳んで閉まった 背の高い本棚の一番端 破れた楡の葉をそっと挟んで こうして絡まった腕と脚は もう貴方にあげてしまいま…

作文のこと

小学6年生のときだっただろうか、僕の書いた作文が県の文集に載ったことがある。別にそれはどうでもいいのだけれど、さっきなんとなくその作文を読んでみて、自分の書く文章がちっともよくなっていないことに気がついた。とくに、各文の末尾の処理がヘタク…

数本、はらりと抜け落ちた髪をしっかり摘み上げる先が漂白され渇いた針はぬめる指の中でひっそり絡まる(2015年6月8日)

お腹が痛いときは本当に何も考えられないのに、とりあえずこの文は書けたので満足である。(2015年6月7日)

暮れ

隠された墓標を背にして 枸橘の花が咲くほうに向き直る 夕暮れのトンボに 小さな石ころを投げつけて お前の渇いた満足を 真っ白いペンキで塗りつぶす そこにできた水たまりから いつかの老婆が現れる しなびた着物をきて 薄笑いを浮かべている お前の渇いた…

ログインできないというだけで、アクセスできないというだけで、不安になる、君と、君と繋がる僕と、騒がしいほどの沈黙。 (2015年6月5日)

銀縁のアクリルガラスでそこに書かれたテクストを切り取り纏った装飾を少しずつ剥いでゆくアルミ缶のプルトップは縦に引かれプラダのバッグが咳をする(2015年6月4日)

銀縁のアクリルガラスでそこに書かれたテクストを切り取り纏った装飾を少しずつ剥いでゆくアルミ缶のプルトップは縦に引かれプラダのバッグが咳をする(2015年6月4日)