円い言葉が事切れたのは

蜘蛛の巣が雨に濡れたから

重い身体を持ち上げて

伝う雫を舐めとった

 

車窓から覗く貴方の影を

小さく小さく折り畳んで閉まった

背の高い本棚の一番端

破れた楡の葉をそっと挟んで

 

こうして絡まった腕と脚は

もう貴方にあげてしまいましょう

だからこの小さい溜め息だけは

どうか、

どうか濡れてしまわないように

 

(2015年6月10日)