ピー助

 話すのが好きなインコのピー助は飼い主の吉田さんが死んでからめっきり喋らなくなった。昔は好物の豆が欲しいときに「豆くれ、豆くれ」と言ったものだったのに、いまはうんともすんとも言わない。窓の外を見ては時折ため息をつくくらいのものだ。

 いま、ピー助に喋りかけるのは僕のお姉ちゃんだけで、そのお姉ちゃんも昔は毎日喋っていたのに、いまでは三日に一度になっている。僕の家には喋るロボットがあって、彼と話す方がよっぽど楽しいのだ。