作文のこと

 小学6年生のときだっただろうか、僕の書いた作文が県の文集に載ったことがある。別にそれはどうでもいいのだけれど、さっきなんとなくその作文を読んでみて、自分の書く文章がちっともよくなっていないことに気がついた。とくに、各文の末尾の処理がヘタクソだから、文章全体のリズムがぎこちない。しかも、チューニングすらしていない状態で書きはじめるものだから、音がそもそもあっていないのだ。小学生の頃、僕はリコーダーが上手に吹けなかった。音楽の授業では学期末にリコーダーの試験があって、一人一人先生の前でリコーダーを吹かなければならないのだけど、僕はいつもタンギングが出来ていないと言われて、一生懸命やっても成績がよくなかった。でも、本当は、タンギングは出来ていたはずなのだ。僕は確かに、皆と一緒に吹いているときには、綺麗に吹くことができていたのだ。でも、僕は生来のあがり症だから、先生の前で一人で吹くとなると、恥ずかしくてタンギングができなくなる。それに、手がブルブル震えて、音も安定しなくなる。ほら、ちょうどこの文章のようにブルブル震えて、どんどん息継ぎができなっていくのだ。まあ、それはさておき、今日僕が最も落ち込んでしまったのは、県の文集に載っていた同世代の子たちの文章がとても上手に見えて、差を見せつけられたような気がしたからだった。文集には詩や短歌なんかも載っていて、それは小学生が書いたとは思えないほど大人びて見えた。いま僕が書いたりしているものなんかよりもずっと大人びて見えて、少しだけ自信が削がれた。もちろん、そもそもお前の自信など、つまらない自信だと言われてしまえばそれまでなのだが。まあ、とにかく、僕はもっと綺麗な文章が書けたらいいなと思っている。美しい旋律を響かせることができたらいいなと思っている。

 

(2015年6月9日)