形は進路を失い、楡の葉の囁きを聞いて、君は溶け出した。僕は溶けた君を透明なビンにつめて、しっかりコルクで栓をしてから、引き出しの奥にしまった。僕はむかし、テレビか何かで、リスが口の中にドングリを溜め込んでいるのを見たことがある。いまの僕はといえば、まさにそのリスみたいで、前歯は反っ歯だったし、目は黒くて大きかった。溶け出した君に形を再び与え、方向づけるのは僕の重要な仕事だったし、それは誇り高いことだった。君、柔らかく微笑む君を透かして、僕はビンの縁にキスをする。当たってしまいそうな歯を唇の中に隠しながら。

(2015年6月17日)