トキオくん
トキオくんのパパは冷房が嫌いなので、この夏も扇風機と団扇だけで乗り切ると息巻いています。でも、トキオくんは冷房とつけないと溶けてしまうので困るのです。この前、僕がトキオくんの家に行くと、玄関のところでトキオくんが溶けていました。溶けたトキオくんは少しベトベトしています。
「今日も溶けてしまってるね、ちょっと待ってて、いま氷を持ってきてあげるから」
そう言って氷を玄関に撒いてやると、トキオくんはなんとか生き返りました。ベトベトしているトキオくんはあまり好きじゃないので一安心です。
「あのね、僕も汗疹がひどいから、冷房ないと、夏はダメなの」
いつだったか、トキオくんにそう打ち明けたことがあります。自分が汗疹であることは家族以外誰も知りません。誰かに打ち明けたのはこれが初めてのことでした。
「おいら汗疹はわからないけど、でも、なんとなくその気持ちはわかる気がするよ」
トキオくんはそう言ってくれたのです。その時から僕はトキオくんと大の仲良しになりました。
僕はこれからもずっとトキオくんに氷を持っていってあげるつもりです。
(2015年7月29日)