給食後の掃除

 小学生たちは頭に三角巾をして掃除をしていたのだが、一部の彼らは掃除なんて面倒だから適当にやればいいやと思っていて、教室に半田先生もいないものだから、ますます彼らは適当にやるようになって、それを見かねた一部の彼らがちゃんとやってよと金切り声をあげるのだが(そういうのはたいてい女子だ)、その声のおかげと言うべきか、そのせいだと言うべきか、ついに隣のクラスの横田先生が我慢ならなくなって、3年2組の教室に入ったところで、掃除の時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、そのチャイムを合図に彼らは一斉に三角巾を外した。

 そのとき半田先生が何をやっていたかと言うと、彼は印刷室で学級新聞を印刷していたのだったが、コピー機の不良か彼の操作ミスか、A4の原稿を拡大コピーしてA3にするつもりが、A4の原稿をA3の紙にそのままの大きさで印刷してしまい、へんてこなサイズの学級新聞が刷り上がりつつあるのにもかかわらず、彼はそれに気づかず、明日の給食のメニューがなんだったかなどと考えていたのだった。

 給食室では、今日の給食の残飯を、おばさんたちが処理していたが、彼女たちの一部は耳が遠いから、掃除の時間の終わりを告げるチャイムは聞こえない。その中の一人には横田先生のクラスに通う息子をもつお母さんがいて、そういうわけで彼女は横田先生のことはよく知っている。横田先生がこの秋結婚することも、給食室のおばさんの中で、彼女が唯一知っているのだった。