芳昭が荒廃した部落の中を歩いていていると、不意に袈裟の袖を引き寄せる者がおりました。振り向き見れば、そこにはまだ五つか六つの童どもが、物欲しげな顔で芳昭を見つめております。 「法師や、法師や」 童の中で一番大きな女童がか細い声で芳昭を呼びま…
四日間ジョンがホテルのベッドから出ずに抱き合っていたのはナスビだった。黒紫色のぶっといナスビ。ヨーコでなければ、イチジクでもない。強く抱きしめると、弾力はあるが少しヘコんで痕が残る。ぶちぶちとナスビの繊維が千切れる音がする。 「どんぐりころ…
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