傘サス君ヘ

 

足りない背を伸ばして

肩越しに見える黄色い染みを

捕まえられたなら

騒騒しい木々のひたむきさと

カタカナばかりの虫の鳴き声と

ゼロコンマ二秒で君が嘘

全て答案用紙の隅っこに

書いては消したものの

いつかは優しい雨に打たれて

誰にも知られないうちに

滲んで浮かび上がる

まだ来ない総武線の線路を背にして

振り返る君を期待していた

重さのない空気の重さが

いまだけは少し理解できる

アスファルトに傘の先を突き立てて

僕はもうすぐ君を見送る

 

(2015年5月28日)