風船を膨らました。暫くしたら破裂した。

        ト ホイッスルがなる

          男と女が行進して舞台に入ってくる
          定位置についたら、それぞれ正面を向く
 
 男:「あ!、という言葉から物語は始まる」

 女:「あ!、という言葉から物語は始まる」

        ト 『あ!』という台詞と同時に右手の人指し指を高くあげる

 男:「あ!」
 
 女:「あ!」

 男&女「あ!、あ!、あ!」

        ト 満面の笑みで、『あ!』を連呼した後、真顔
          男が女のほうを向く

 男:「隣の客はよく柿食う客だ」

        ト 女が男のほうを向く

 女:「隣の客はよく柿食う客だ」

 男:「君はかぷかぷ笑えるかい?」
 
 女:「ええ、わたしはかぷかぷ笑えるわ」

        ト 男と女は正面をむく

 男:「かぷかぷ」

 女:「かぷかぷかぷ」

 男:「扁桃腺が、腫れてしまうね」※呟くように

 女:「あらまあ、それは大変」※大袈裟に驚く

 男:「きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ?」※大袈裟に疑問

 女:「ちゃろらいんぷろんぷろっぷきゃりーぱむぱむ?」※大袈裟に疑問

        ト 男と女は床に置いてある糸電話を拾う

        ト 糸電話を男は口に、女は耳にそれぞれあてる
          ※ これより右、会話にあわせて糸電話を用いる 

男:「えーっと、あーあー。もしもし、こちらはアトレイユ」

 女:「もしもしもし、こちらはアリス。どーぞー」

 男:「あ、やっぱり君は少女Aだ」
 
 女:「女の子のこと知らなすぎるのあなた?」

 男:「そんなのどうでも関係ないわ」

 女:「そういうあなたは少年エース

        ト 男は糸電話を床に落とし、驚いた顔で正面を向く

 男:「月刊少年エース。毎月26日絶賛発売中!」

        ト 女は糸電話を床に落とし、驚いた顔で正面を向く

 女:「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団?」※大袈裟に疑問


        ト 男と女は床に置いてあるライトを拾う
          男は首に下げていたホイッスルを口に咥える
          ライトをつけないまま正面に向ける

 女:「せーの!」

        ト ホイッスルのモールス信号に従ってライトを点灯
    
         ・・・−−−・・・
         ・・・−−−・・・

        ト 5秒静止

         ・・・−−−・・・
         ・・・−−−・・・

        ト ゆっくりライトを床におく
          真顔

 男:「気怠い夜に……」※呟くように

 女:「気怠い夜に……?」
 
 男:「そう、気怠い夜に、僕はファンタージエンを救い出す」

 女:「わたくしは穴に落ちる…うさぎを追いかけて……」

 男:「うさぎ……。うさぎがぴょんぴょん跳び回ります」

        ト 男はうさぎになって、ぴょんぴょん跳びはねる
          女は追いかけてうさぎをつかまえようとするが、つかまえることが
          出来ない
          うさぎが一周したところで定位置
          真顔
 
 女:「あー、暑いなあ。疲れた。疲れた」

 男:「かぷかぷ」

 女:「かぷかぷかぷ」

 男:「あ、笑った」※女を指差す

 女:「あなたが笑うから笑った」

 男:「ああ、幸せだから笑ってしまったよ」

 女:「ちがうわ。笑ったから幸せなのよ」

        ト 男は女のほうを向く ※不服そうな表情で
          女は男のほうを向く
          5秒静止


 男:「〽だるまさん/だるまさん/にらめっこしましょ/笑うと負けよ/あっぷっ
     ぷ」
 
        ト 男と女は向かい合ってにらめっこをする
          にらめっこをしながらゆっくり正面を向く
          正面を向いたら吹き出して笑う
         

 男&女:「かぷかぷかぷかぷ」

 男:「はてさてはて、そうしたら僕は、少しばかり出かけてまいります」

 女:「さようなら」※恭しくお辞儀

 男:「これはご丁寧に。さようなら」※恭しくお辞儀

        ト 男は捌ける
          女は舞台中央にでしゃがみ、目を手で隠す
 
 女:「だるまさんが、転んだ」

        ト 女は後ろを振り向く ※約三秒
          だるまさんが転んだに従って姉がはいってくる
       
 女:「だるまさんが、転んだ」

        ト 女は後ろを振り向く
          姉は女に近づく

 女:「だるまさんが」

 姉:「捕まえた」

        ト 姉は女の肩に手を置く
          女は振り向く

 女:「お姉様でしたか」

 姉:「ええ、そうよお姉様よ。あなたのお姉様。ごきげんよう妹と皆様」
    ※客席にお辞儀

        ト 女は立ち上がって、定位置にもどる
          姉は男の定位置につく

 女:「お姉様、ああ、お姉様。どうして貴女はお姉様なの……」※感嘆

 姉:「私は永遠の代用品。ええ、代用品なの。お前のような瞳を持っていないのだか
    ら……。ああ、神は死んだ。神は死んだのよ。彼らが神を殺したんだわ!」
    ※狂乱しながら
 
 女:「イワシの頭も信心から……。イワシ! あああああ」※狂乱しながら

        ト 女は捌ける
          約3秒静止
          ホイッスルが鳴る
          男が入ってきて、女の定位置につく

 男:「ごきげんようお姉様」※お辞儀

 姉:「あら、あなたのお姉様になった覚えはなくってよ」

 男:「あららかたぶらつるりんこ。それよりお姉様、僕は上手に歌がうたえるよ」

 姉:「かぷかぷかぷ、あなたが歌を上手に? 悪い夢でもみているのでしょう」

        ト 男は手に持っているラケットをギターのように構える
          男は朗々と歌をうたう

 男:「〽なみをちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷかき分けて/くもをすいすいすいすい追い     
     抜いて/ひょうたん島はどこへゆく/僕らをのせてどこへゆく……」

        ト 姉は男の歌にあわせて手拍子をする

 男:「ああ、上手に歌を歌えて僕はうっとりしちゃいますね。うっとり」※感嘆
 
        ト 姉は定位置でしゃがみ、目を手で隠す
 
 姉:「だるまさんが、転んだ」

        ト 姉は後ろを振り向く ※約3秒
         男は姉に襲いかかろうと近づく
 
 姉:「だるまさんが、ケンケンパ」
   
        ト 姉は後ろを振り向く
          男は一生懸命ケンケンパ
 
 姉:「だるまさんが、アルプス一万尺
 
        ト 姉は後ろを振り向く
          男は一生懸命アルプス一万尺

 姉:「だるまさんが……」
 
 男:「ああああああ、もう無理さ。なんなのさ。なんなのさ」

 姉:「かぷかぷかぷ。ひっかかったなアンラ」
 
 男:「なにっ……おい、お前まさか、ツァラトゥストラなのか」

 姉:「いかにも、わたくしはゾロアスター

 男:「どうして、お前がここに……」

 姉:「黙れ!お前はここでわたくしに倒されるのだ」

        ト 姉はナイフを取り出す
          男はホイッスルをならしながなら逃げる
          姉は男を追いかけて、ナイフで腹部を刺す
          男はその場に崩れ落ちる

 男:「神は死んだ……。神は殺された……。しかし王国の扉は開く」


        ト 男は力を振り絞り立ち上がる

 男:「ああ、たい焼きは尻尾から食べる女の子がタイプ……」

        ト 男はそのまま崩れおちる
          静止 ※約5秒
          姉は定位置にもどる
         
 姉:「ん!、という言葉で物語は終わる」
 
 男:「ん!、という言葉で物語は終わる」※すくっと立ち上がる
 
        ト 『ん!』という台詞と同時に左手の人指し指を高くあげる

 姉:「ん!」

 男:「ん!」

 男&姉「ん!、ん!、ん!」

        ト 満面の笑みで、『ん!』を連呼した後、真顔 ※約3秒
          男がホイッスルを鳴らし、行進して退場

        ト 退場後、もう一度ホイッスルが鳴り、行進してキャスト全員登場
          挨拶

        了

 

(2013年/加筆修正2015年4月24日)